こんにちは!!大阪市城東区鴫野駅から1分「けいクリニック」院長、精神科専門医の山下圭一です。今日は軽度の自閉スペクトラム症に関して説明していきます。
結論を先に伝えると、軽度の自閉スぺクラム症とは
特性は弱いが、生活障害があるため自閉スペクトラム症と診断される方。また自閉スペクトラム症の特性はあるが環境調整がうまくいっており生活障害がない方と考えます。
では以下に具体的な例も挙げた上で詳しく説明していきます。
自閉スペクトラム症とは
自閉スペクトラム症とは以前は広汎性発達障害、自閉症、アスペルガー症候群などと飛ばれていた疾患群を含む概念になります。「スペクトラムSpectrum」というのは英語で「連続している」という意味で、発達障害の特性が弱いものから強いものまで連続性をもっているという概念になっています。
分かりやすく図で説明すると下図のように自閉スペクトラムの特性の強弱は連続性があり、右にいけばいくほど発達障害の特徴を強く持っているということになります。
自閉スペクトラム症の診断
現在の自閉スペクトラム症の診断基準としてa.社会性コミュニケーションの障害b.限局的反復的な行動パターンといった2つの領域の症状があります。その2つの症状を満たしており、それが社会生活上で支障がある際に診断がつけられます。 誰しも得意苦手はありますが、その特性の凸凹が強い状態を発達凸凹と呼ぶとしましょう。発達凸凹があるが社会生活で困りごとがない場合診断が必要ない場合もあるでしょう。 すなわち発達凸凹+生活障害=発達障害と考えてよいかと思います。
軽度の自閉スペクトラム症の具体例
では以下に例を挙げてみていきましょう。
ここにAさんとBさんがいたとします。
AさんとBさんの発達障害の特性は図の位置くらいとします。
Aさんは対人関係やコミュニケーションが苦手で、一つのことにこだわると変更が難しいといった自閉スペクトラム症の特性を持っています。
しかしながら、こだわりを生かし研究員として日々仕事に取組み周囲にも理解されながら生活を送っています。
BさんはAさんと比べると弱いものの自閉スペクトラム症の特性を持っています。しかしながら接客業で働いておりコミュニケーションや臨機応変な対応を求められ日々困りごとが絶えません。
上記の例はやや極端かもしれませんが実際にあっても不思議ではないケースと考えられます。
すなわち、Aさんの方がBさんに比べて発達障害特性は強いものの Aさんは発達障害の特性が強いが周囲の環境が本人の特性と合っており生活に支障がない方 ⇒自閉スペクトラム症と診断しない、もしくはしなくても良い。
Bさんは発達障害の特性はAさんより強くないが日常生活で支障がある ⇒自閉スペクトラム症と診断する。
ということが起こってきます。
上記のようなことは実際の診察場面でも起こりえます。
それを分かりやすく図に表すと現在の診断の考え方というのは下図のような考え方になってきます。
まとめ「軽度の自閉スペクトラム症」とは?診断と治療に関して
すなわち軽度の自閉スペクトラム症の方というのは発達障害特性がそこまで強くないが生活に支障があるかた、もしくは発達障害特性はあるが環境がうまく合っているため生活の支障が少ない方で、さっきの例にあげたAさんやBさんのような方が軽度の自閉スペクトラム症と言えるでしょう。
ここで注意すべき点としては上に挙げたBさんのような方も自身の特性を知り周囲の環境調整をすることで生活上の困りごとを少なくすることは可能です。
またAさんが今後環境の変化で周囲に適応出来なくなり生活に支障が起こってくることも考えられます。
発達障害の治療で重要なことは診断の「あるなし」ではなく、診断を受けた上で自分の得意苦手を知り今後の生活に生かしていくことなのです。
発達障害を診断するには患者さまご本人からの情報だけでなく幼少期や学生時代などの困りごとや家族や配偶者の方からの客観的な情報も非常に重要になってきます。
そういった情報を参考に医師による診察とWAISやWISCなどといった発達検査を実施することで発達障害の診断を行っていくことになります。
当院では子どもから大人まで経験豊富な医師が診察を行い、公認心理士により心理検査を実施した上で発達障害の診断がつくのかどうか相談することが可能です。
子どもから大人まで発達障害の検査を希望される方、また学校や職場など生活上の困りごとに関してのご相談は大阪市城東区「鴫野駅」徒歩1分のけいクリニックまでお気軽にご相談ください。